(海賊版)【ゆっくり文庫】 レイ・ブラッドベリ 「ロケット」
①、原作について

(レイ・ブラッドベリ)
原作は1950年に書かれた22Pほどの短編SF小説。
当時のアメリカは絶好調で、燃費の悪い大型車がよく売れたそうだ。宇宙開発に関してはロシアが犬を宇宙に送り込むよりも前。アメリアがV2ロケットを改良して宇宙にハエを放っていたような時代である。それからざっと70年近くたった。(ワシらはロケットに乗っているかね?)
原作は動画ほど結論をはっきり言わない。実に文学らしい奥ゆかしさだ。
②、動画制作について
今回は「紙芝居から演劇へ」を意識して動画を作った。
過去の二作はどちらもナレーター(霊夢)が読み上げる地の文が多かった。そのために「紙芝居っぽさ」が感じられた。それはそれで良いが、別の手法も学んでおきたかった。ゆっくり文庫さんのような「演劇らしさ」を出すために、地の文を削り、キャラの動きと会話文を増やした。キャラの表情をころころ変える編集は手間が掛かるが、面白かった。主人公のボドニがロケットに乗って、宇宙旅行を妄想するシーンは地の文を削りまくったせいで伝わらないかと危惧していたが、動画のコメントを見るに杞憂だったようだ。うれしい誤算だ。

SF動画のための素材は意外と少ない。
以前、ゆっくり文庫さんが「迷子のロボット」を動画化する際に苦労されていたが、私も似たような状態に陥った。脚本はあるのに素材がない。家族で宇宙旅行に使うようなロケットの内装写真が欲しい。もちろん、既存のキャラクターが写り込んでいない状態の、無人の光景が望ましい。それも1枚だけではダメだ。ハッチの前、操縦席、子供たちが戯れるスペース、空っぽの機関室……
SF素材がなかったから、過去の写真を使った。
第一次世界大戦に使われた潜水艦の写真だ。ちょうどいい狭さ。ちょうどいい円筒の構造。ちょうどいい機械らしさ。未来の物語を作るために過去の遺物を掘り起こす。意外なことに、そこまで違和感なく画面を作れた。

③、ボドニは何を選んだか?
「子どもを優先したのか」というコメントを見て、頭を抱えてしまった。
その結論なら、最初の「誰か1人を火星に行かせる!」というアイデアと大差ない。ボドニは「みんなでおいしく朝食を食べられる道」を選んだ。それは夢を叶えることにくらべれば、笑ってしまうくらい簡単だった。(簡単なことじゃないか! 何を悩んでいたんだか!)

本当は私が冒険した箇所について詳しく触れるつもりだったが、今回は割愛する。
原作と比較すると差異がハッキリわかって味わい深い。是非、原作も読んでみてください。面白いよ。
さて、次は何を作ろうか
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